令和4年2月県議会定例会
知事演述
4 政策の展望
(「いわて県民計画(2019~2028)」に基づく政策の推進)
 令和4年度は、「いわて県民計画(2019~2028)」第1期アクションプランの最終年度であり、令和5年度を始期とする第2期アクションプランの策定年度であります。
 人口減少、デジタル、グリーン、この3つを重点課題とし、3つのゾーンプロジェクトやILCの推進など、県民計画に基づく施策を着実に展開します。
(人口減少社会への対応)
 本県の人口は平成9年以降減少を続け、令和3年10月時点では119万6千人となり、社会増減は、3年連続で社会減が縮小したものの2,738人のマイナス、自然増減は出生数の減少などにより11,128人のマイナスとなっています。
 一方で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が繰り返され、地元志向・地方志向が強まる中、令和2年度の高卒者の県内就職率が20年ぶりに7割を超えました。
 また、感染症に対する大都市のリスクの高さが際立ち、東京圏への人口集中を是正すべきということが改めて浮き彫りになりました。
 このような中、地方への移住に対する関心が高まり、東京圏の転入超過の傾向に変化が見られ、テレワークをはじめとする多様な働き方が加速するという、個人の意識・行動変容が起きています。
 さらに、学校におけるICT機器の前倒し整備、介護施設における介護ロボット等の導入をはじめ、各分野においてデジタル化が加速し、社会環境も変化しています。
 この機を捉え、「第2期岩手県ふるさと振興総合戦略」のもと、人口減少対策に更に力を入れて参ります。
 自然減対策として、昨年12月に設置した「いわてで生み育てる支援本部」を司令塔に、結婚支援の強化や、産前・産後サポートの拡充を行い、子どもを生み育てやすい社会を目指します。
 社会減対策としては、県外の皆さんに岩手に関心を持っていただく取組を強化します。また、本県出身の皆さんと岩手とのつながりを深める取組を進め、本県へのU・Iターンを促進します。
(デジタル化による地域課題の解決)
 デジタル化の進展は、個性豊かで活力に満ちた地域社会の可能性を広げます。
 昨年7月には、産学官金で構成する「いわてデジタルトランスフォーメーション推進連携会議」を設立しました。
 全ての県民がデジタル化の恩恵を享受できるよう、「行政のDX」「産業のDX」「社会・暮らしのDX」「DXを支える基盤整備」の4つの取組方針のもと、商工業、農林水産業、建設業をはじめとしたあらゆる産業のデジタル化の促進、デジタル技術を活用した教育・介護・子育て・医療分野における利便性の向上、情報通信インフラの整備、市町村の取組への支援を進めます。
(グリーン社会の実現)
 本県は、全国第2位の森林面積を有し、2つの国立公園が存在するなど、優れた自然環境に恵まれ、また、全国トップクラスの再生可能エネルギーのポテンシャルがあり、電力自給率が上昇しています。
 一方、地球温暖化に歯止めがかからず、世界の気候は非常事態に直面しており、本県としても、国際社会の一員としての役割を果たすことが求められます。
 昨年2月には、気候変動に対する危機感を共有し、県民総参加で気候変動対策に取り組むため、「いわて気候非常事態宣言」を表明しました。
 その後、3月に「第2次岩手県地球温暖化対策実行計画」を策定し、2030年度の温室効果ガス排出削減目標として、2013年度比で41%を目標に掲げ、「温室効果ガス排出量の2050年実質ゼロ」に向け取り組んでいます。
 地域経済と環境に好循環をもたらすグリーンの視点で、森林整備・県産木材の利用促進などの森林資源の循環利用、省エネ住宅の普及、水素の利活用、再生可能エネルギーの導入を促進します。
(3つのゾーンプロジェクト)
 3つのゾーンプロジェクトに関し、北上川流域は、自動車関連産業の集積が更に進み、半導体製造メーカーの工場の増設、IT企業の本店移転などもあり、新たな雇用が生まれ、成長が続いており、産業集積、都市型の生活環境、豊かな自然、歴史と文化を生かした地域づくりが進んでいます。
 このような北上川流域の強みや特徴を生かし、働きやすく、暮らしやすいエリアとしての発展を促すため、一層の産業振興と生活環境の充実を進めます。
 また、北上川バレーに「残ってもらう」「帰ってきてもらう」「来てもらう」ために、地域の魅力を発信します。
 三陸地域においては、復興を通じて、まちづくりや交通ネットワークの形成が進み、港湾機能などを生かした地域産業が発展しています。
 防災やジオパークで世界とつながる三陸、多様な交通ネットワークで国内外とつながる三陸、食やスポーツでつながる三陸として、様々な地域や主体と連携しながら、持続可能な三陸地域を創造します。
 また、「三陸防災復興プロジェクト2019」「ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催」「防災推進国民大会2021」の成果を継承し、三陸ジオパークや豊かな食材・食文化などの地域資源を活用して、交流人口を拡大します。
 北いわてにおいては、豊富な再生可能エネルギー資源を産業活動に導入しながら、食産業やアパレル産業、漆関連産業などの特色ある産業が発展しています。
 また、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産に登録され、交流人口の拡大に期待が高まっています。
 これら北いわてのポテンシャルを最大限に発揮するため、北いわて13市町村など産学官で構成される「北いわて産業・社会革新推進コンソーシアム」を昨年8月に設立しました。
 この組織を活用し、北いわての資源や産業を生かして持続的に発展する地域づくりを推進します。
(ILCの推進)
 昨年6月に、世界の研究者コミュニティの組織であるILC国際推進チームが「ILC準備研究所提案書」を公表し、国においては、7月に文部科学省がILCに関する有識者会議を再開して、この2月、議論を取りまとめるなど、ILC実現に向けた取組が進展し、重要な時期を迎えています。
 県としては、国内外の動向に臨機に対応しつつ、関係団体と連携し、研究者の活動を支援します。また、政府主導の国際的な議論の推進について、国に働きかけます。
 併せて、外国人研究者の受入環境の整備や、県内企業の加速器関連産業への参入促進など、ILCの実現に向け、地元の取組を進めます。
(行財政運営の改革)
 一方、人口減少に伴う一般財源規模の縮小や、高齢化の進行に伴う社会保障関係費の増加などにより、本県の財政状況は中長期的に厳しさを増すことが見込まれます。
 人口減少などの重点課題に対応し、県民福祉を増進しつつ、基本的な行政サービスを将来にわたって提供していくためには、安定的で持続可能な行財政基盤の構築に努める必要があります。
 このため、有識者で構成する「持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会」を開催し、県の行財政の構造的・中長期的な課題の分析を通じて、抜本的な行財政運営の構造改革の方策について、提言を頂きます。
(第2期アクションプランの方向性)
 令和5年度から4年間の第2期アクションプランの策定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策を通じて培われた、県、市町村、企業、団体、個人など、様々な主体の協力関係を生かしながら、広く意見を伺い、新しい時代を切り拓く県の役割を構築して参ります。
(主要行事の開催に向けた対応)
 去る1月8日、本県は「盛岡県」から「岩手県」に改称されて150周年となり、令和8年5月25日には、現在の県域が確定されて150周年の節目を迎えます。
 この令和4年度から8年度までを「県政150周年記念期間」として、岩手のことをよく知り、岩手の在り方を考える機会とし、県民の皆様と共に、記念事業を行います。
 令和4年7月から9月にかけては、青森県、秋田県と連携し、「北東北三県観光キャンペーン」を実施します。
 北東北の世界遺産やユネスコ無形文化遺産などの地域資源を生かし、北東北への人の流れを大きくしていきます。
 東日本大震災津波からの復興に取り組む中、多くの皆様から御協力をいただき、大成功を収めることができた「希望郷いわて国体・希望郷いわて大会」や「ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催」を契機に、復興及び地域振興に貢献するスポーツの力に理解が深まっています。
 このレガシーの上に、令和4年9月に「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」、令和5年2月には「いわて八幡平白銀国体」を開催します。岩手からスポーツの感動を全国に伝えながら、岩手のおもてなしや、食、歴史・文化などの魅力を発信します。
 令和5年春には、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、高田松原津波復興祈念公園において、「第73回全国植樹祭」を開催します。
 本県の豊かな森林環境を継承し、林業の持続的な発展に向けた機運を醸成します。また、復興の姿を伝える機会でもあり、関係機関・団体をはじめ、県民一丸となって準備を進めます。