令和4年2月県議会定例会
知事演述
5 令和4年度の主要施策の概要
 令和4年度は、「いわて県民計画(2019~2028)」第1期アクションプランの最終年度であり、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策に取り組みながら、先に述べた重点的な事項をはじめ、計画に掲げる施策を着実に推進します。
 はじめに、東日本大震災津波からの復興です。
(1) 復興の推進
(安全の確保)
 「安全の確保」として、水門・陸こうの自動閉鎖システムの整備、整備済みの社会資本の維持管理を行います。
 また、防災知識の普及や自主防災組織の組織化・活性化など多重防災型まちづくりを推進します。
 防災集団移転促進事業に伴い生じた「移転元地」の利活用の促進、放射性物質に係る風評被害の払拭に向けた放射線影響対策を引き続き実施します。
(暮らしの再建)
 「暮らしの再建」として、「いわて被災者支援センター」において、関係機関・団体と連携し、恒久的な住宅に移った後の生活の安定など、一人ひとりに寄り添った支援を実施します。
 被災者の見守りやコミュニティ形成支援のための相談員などの配置、「心の復興」の活動を行う民間団体への支援を引き続き行います。
 「岩手県こころのケアセンター」や「いわてこどもケアセンター」において、被災者や子どもの心のケアに中長期的に取り組みます。
 郷土に愛着や誇りを持ち、岩手の復興・発展を支える人材を育成するため、地域や関係機関・団体と連携し、「いわての復興教育」を推進します。
(なりわいの再生)
 「なりわいの再生」として、近年の主要魚種の不漁等に対応するため、大型で遊泳力の高いサケの稚魚生産等による資源回復、マイワシをはじめ増加している資源の有効利用、サケ・マス類の海面養殖やウニの二期作など新たな漁業・養殖業の導入を推進します。
 また、水産加工事業者が行うデジタル化や人材確保、商品開発・販路開拓への支援、漁港施設の機能強化に取り組みます。
 原木しいたけの産地再生のため、出荷制限の解除に向けた取組を継続します。また、需要拡大・販路開拓を促進します。
 事業を再開した事業者の経営の安定化のため、商工指導団体等と連携し、金融面や売上増加に向けた支援を継続します。
 復興道路や三陸鉄道等の交通ネットワークと観光資源を生かし、三陸地域を振興していくため、三陸DMOセンターの活動拠点を沿岸部に置いて、機能強化を図り、観光事業者と一層連携します。
(未来のための伝承・発信)
 「未来のための伝承・発信」として、復興フォーラムや復興未来塾などの開催により、多様な主体が復興について幅広く教え合い、学び合う機会の創出や、次世代への継承に取り組みます。
 また、復興支援への感謝と復興の姿を継続して発信します。
(2) 10の政策分野の推進
 10の政策分野については、政策評価に基づくマネジメントサイクルを機能させ、取組の成果と課題を県民の皆様と共有し、計画の実効性を高め、施策を着実に推進して参ります。
(健康・余暇)
 「健康・余暇」分野では、「健康いわて21プラン」や「岩手県循環器病対策推進計画」に基づき、健康寿命の延伸のために優先的に取り組む必要がある脳卒中などの循環器病の予防や早期発見に向け、生活習慣の改善や検診受診率の向上に取り組みます。
 令和3年の本県の自殺者数は、速報値ではありますが、初めて200人を下回り、自殺死亡率も全国平均を下回りました。引き続き、「岩手県自殺対策アクションプラン」に基づき、包括的な自殺対策プログラムを推進し、職域団体等におけるゲートキーパーの養成や相談体制の充実に取り組みます。
 地域医療構想の実現に向け、医療機関の機能分担や連携体制の構築を促進します。また、医師の確保と地域偏在の解消、看護職の県内定着を図ります。
 周産期医療については、周産期母子医療センターの機能強化や、分娩取扱施設から遠隔地に居住する妊産婦の移動に係る支援の充実を進めます。
 「地域包括ケアシステム」を推進するため、市町村の取組を支援します。また、福祉・介護職の人材確保に取り組みます。
 障がい者の地域生活を支えるサービス基盤の整備、就労支援や相談支援体制の充実に、市町村や事業者等と連携して取り組みます。
 会場以外での鑑賞・観覧も可能となるよう、イベントなどのオンライン配信に取り組み、文化芸術やスポーツに親しむ機会を広げます。
 障がいの有無にかかわらずスポーツを楽しむ機会の充実を図るため、誰もがスポーツを楽しむことができる環境を整備し、共生社会型スポーツを推進します。
 「(仮称)盛岡南公園野球場」について、全国初となる県と盛岡市とのPFI方式により、令和5年4月の供用開始に向けて整備を進めます。
(家族・子育て)
 「家族・子育て」分野では、安心して妊娠・出産できる環境のため、新たに、産後ケア事業利用者の経済的負担を軽減するなど、産前・産後のサポートの充実に取り組みます。
 市町村が、必要な保育サービスを提供できるよう、施設の整備や運営に対する財政支援、保育人材の確保に取り組みます。
 子どもの貧困対策やひとり親家庭等への支援のための施策を総合的に推進します。
 「児童虐待防止アクションプラン」に基づき、児童相談所や地域における見守りの体制を強化します。
 ヤングケアラーについては、実態を把握し、包括的な相談支援体制を強化します。
 障がい児とその家族の多様なニーズに対応した療育が受けられるよう、地域療育ネットワークの機能の充実を支援します。
 また、「医療的ケア児支援センター」を設置し、地域における医療的ケア児等の支援体制の充実を図ります。
(教育)
 「教育」分野では、「岩手県総合教育会議」を開催し、教育委員会との連携を深め、地域の教育の課題やあるべき姿を共有し、本県教育の振興を図ります。
 「いわて幼児教育センター」における幼児教育の一層の推進に取り組みます。
 高等学校と市町村、地元企業、大学等が、教育活動を協働して展開することにより、持続可能で魅力ある地域づくり、人づくりを推進していきます。
 特色ある私学教育の振興、地域の国際化に貢献する人材の育成、ものづくり産業、農林水産業、建設業などの産業人材の確保・育成に取り組みます。
 スポーツ指導において、映像分析などのデジタル技術を活用し、指導者の資質や競技力の向上を図ります。
(居住環境・コミュニティ)
 「居住環境・コミュニティ」分野では、市町村との連携のもと、住宅の耐震化や空き家の利活用を促進します。
 水道広域化推進プランを策定し、水道事業者の広域的な連携を推進します。また、汚水処理事業の広域化・共同化計画を策定し、汚水処理の効率化を推進します。
 広域バス路線と地域内公共交通の維持・確保に向け、市町村や交通事業者等と連携し、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築を進めます。
 本県の幅広い産業基盤や豊かな自然環境をはじめとした、岩手で働き・暮らす魅力の発信の強化や、岩手で就職を希望する若者への移住支援金の支給などを通じて、移住やU・Iターンを促進します。
 地域おこし協力隊のOB・OGのネットワークと連携し、地域おこし協力隊の受入拡大、活動の充実、定着の促進に向けた支援を総合的に実施し、本県への定住につなげていきます。
 「岩手県における日本語教育の推進に関する基本的な方針」に基づき、日本語教育の総合的な支援体制の構築など、外国人県民が暮らしやすい環境づくりに取り組みます。
 本年8月に、伝統と格式を誇るイギリス屈指のパブリックスクールであるハロウ校のインターナショナルスクールが八幡平市に開校の予定です。同校との間で、地域振興に関する連携協定を締結するなど、地域振興、国際化の取組等を推進します。
(安全)
 「安全」分野では、自助・共助・公助に基づく防災体制づくりに向け、県民一人ひとりの防災意識の向上、住民同士が助け合う体制の強化、関係機関が連携した防災体制の整備を推進します。また、市町村の消防団の充実強化を支援します。
 大船渡市、陸前高田市、住田町を会場に、地震及び津波の発生を想定した「令和4年度岩手県総合防災訓練」を実施します。
 本県最大クラスの地震・津波被害想定調査結果を踏まえ、「岩手県津波避難計画策定指針」を改訂し、市町村の津波避難計画の見直しを促進するほか、「岩手県広域防災拠点配置計画」の見直しを行います。
 効果的な広報や世代に応じた安全教育による交通事故防止対策の推進、「子ども110番の家・車」をはじめとするスクールガードリーダーや防犯ボランティア団体等への支援を引き続き実施します。
 「いわて飲食店安心認証制度」を継続して運用します。また、生活衛生営業指導センターと連携し、関係事業者の取組を促進します。
 令和6年度を始期とする次期医療計画の策定に当たり、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に向けた検討を進めます。
 「岩手県消費者施策推進計画」に基づき、消費者被害の防止、相談への対応の充実、成年年齢の引下げに対応した若年者への啓発などの消費者教育の推進に取り組みます。
(仕事・収入)
 「仕事・収入」分野では、「岩手県自動車関連産業新ビジョン」「いわて半導体関連産業振興ビジョン」に基づき、ものづくりのグローバル拠点の形成を推進します。
 また、北上川流域における関連企業の立地や拡張に対応するため、新たな浄水場の整備を進めます。
 「いわてで働こう推進協議会」を中心として、若者や女性の県内就職の促進や、「いわて働き方改革推進運動」の展開にオール岩手で取り組みます。
 中小企業の経営継続に向け、新しい生活様式に対応した経営への転換を行う事業者への伴走型支援体制の強化や、事業承継の促進に取り組みます。また、「岩手イノベーションベース」の体制を強化し、起業家の育成を推進します。
 商談会や県産品フェアの開催、ECサイトの活用促進などを通じた販路の拡大により、地場産業や食産業の成長を促進します。また、付加価値の高い新事業の創出を支援します。
 全員参加型社会の実現に向け、「第11次岩手県職業能力開発計画」に基づき、個々の訓練ニーズに応じた施策を実施し、IT人材やものづくり人材の育成を強化します。
 令和4年3月に就航1周年を迎える神戸線の維持、関西圏との交流人口の拡大、国際線の再開に向けた働きかけなど、いわて花巻空港の利用促進に取り組みます。
 農林水産業の持続的な発展と農山漁村の活性化を図るため、地域コミュニティ活動をリードする人材の育成や、生産基盤の着実な整備に取り組みます。
 農業者の所得確保に向け、主食用米から高収益野菜等への作付転換の促進や、県産米の需要拡大に取り組みます。また、令和4年10月に開催される第12回全国和牛能力共進会での上位入賞に向け、関係団体と連携して生産者の取組を支援します。
 県産木材の需要が高まる中、公共施設や住宅、民間商業施設等における県産木材の更なる利用促進に向け、官民一体となって取り組みます。
 米や牛肉など本県が誇る高品質な農林水産物の輸出拡大に向け、輸出先の市場ニーズを的確に把握し、戦略的な取組を進めていきます。
 野生鳥獣による農作物被害を防止するため、有害鳥獣の捕獲や地域ぐるみでの被害防止活動への支援に取り組みます。
(歴史・文化)
 「歴史・文化」分野では、昨年11月に開館した「岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンター」を拠点とし、平泉の価値を広く伝え、交流人口の拡大や後世へ継承するための取組を推進します。
 「平泉の文化遺産」「明治日本の産業革命遺産」「北海道・北東北の縄文遺跡群」の3つの世界遺産とそれぞれの地域が有する文化遺産のネットワークを構築し、世界遺産を生かした人的・文化的交流を促進します。
 幅広い世代において、民俗芸能に対する興味・関心を高めるため、魅力の発信や交流機会の創出に取り組み、後継者の育成や文化資源を活用した地域活性化につなげていきます。
(自然環境)
 「自然環境」分野では、循環型地域社会の構築に向け、3Rの推進や海岸漂着物対策等に加え、「岩手県食品ロス削減推進計画」に基づき、食品ロス削減の普及啓発に取り組みます。
 公共関与型産業廃棄物最終処分場について、令和6年度の供用開始に向け、着実な整備への支援に取り組みます。
 「いわての森林づくり県民税」を活用した森林環境の保全に取り組みます。また、温室効果ガスの削減など、環境にやさしい農業を推進します。
 再生可能エネルギーによる電力自給率の維持・拡大に向け、令和7年度に「入畑発電所」、令和8年度に「胆沢第二発電所」の運転開始を目指し、再開発を進めます。
 本県の希少な野生生物の保護対策の基礎資料である「いわてレッドデータブック」について、令和6年度の改訂に向け、生息状況調査を実施します。
(社会基盤)
 「社会基盤」分野では、近年頻発する集中豪雨や台風による洪水被害に備え、あらゆる関係者が協働して行う「流域治水」の推進など、ハード・ソフトを組み合わせた防災・減災対策を進めます。また、市町村のハザードマップ作成等の基盤となる洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域の指定に取り組みます。
 災害に強い道路ネットワークの構築、救急搬送ルートの整備、産業や観光振興の基盤となる道路の整備、社会資本の維持管理を行います。
 港湾の利活用を促進するため、外国船社クルーズ船の寄港の拡大などに取り組みます。
(参画)
 「参画」分野では、「いわて男女共同参画プラン」に基づき、一人ひとりが尊重される社会の実現に向けた取組を進めます。
 「いわて女性活躍企業等認定制度」の普及拡大などにより、女性が活躍できる職場環境づくりや若年女性の県内定着を推進します。
 「いわて若者カフェ」や「いわてネクストジェネレーションフォーラム」を通じ、若者の活躍を支援し、交流やネットワークの拡大を促進します。
(新しい時代を切り拓くプロジェクトの展開)
 「新しい時代を切り拓くプロジェクト」については、先に述べた3つのゾーンプロジェクトやILCプロジェクトに加え、小集落における、第4次産業革命技術を活用した日常生活の利便性向上、人と人とのつながりを守り育てる仕組みの構築に取り組みます。
 また、県外の方々や企業が、複業や地域課題の解決などの形で本県との関わりを深める取組を展開し、関係人口の創出・拡大を図ります。
 先端技術の導入による農林水産業の高度化、ビッグデータの活用による健康寿命が長くいきいきと暮らすことができる社会の実現、ICTを効果的に活用した新たな学びの充実に取り組みます。
 文化芸術やスポーツの力を発揮するための環境づくりに向け、官民一体による文化芸術とスポーツの推進体制を整備します。
(地域振興の展開)
 持続的な地域社会を築くため、市町村をはじめ、地域社会を構成するあらゆる主体との連携・協働のもと、地域が置かれている状況や地域資源の特性をしっかりと捉え、各圏域の持つ強みを伸ばし、弱みを克服する施策を講じて参ります。
 全県と比べ、人口減少が進行している県北・沿岸圏域においては、優れた地域資源や新たな交通ネットワークなどの社会資本を最大限に生かした産業振興を推進します。
 また、過疎・山村などの条件不利地域については、「岩手県過疎地域持続的発展方針」に基づき、振興を図ります。
 人口減少をはじめとする市町村を取り巻く環境の変化を踏まえ、市町村と方向性を共有し、各市町村に共通する重要な課題に関する情報交換や広域連携など、県民に必要なサービスが持続的に提供されるよう、市町村相互や県と市町村との一層の連携・協働を進めます。